好きだからキスして何が悪い?
「「誰っ!?」」
カフェのテーブル席に座るふたりのもとへ行くと、ふたりの第一声がそれだった。
文ちゃんは珍しく頬を紅潮させて、テンションが高くなっている。
「やばーい、どうしよ! 超カワイイよ菜乃~!」
「ほんとほんと! Very cute!」
ふたりが褒めまくるからすっごい気恥ずかしいけど、やっぱり嬉しいな。
「なんか、自分が自分じゃないみたい」
「そうでしょ。今日の計画はね、『菜乃ちゃんに、自分が本当はどれだけ可愛いか思い知らせてあげよう』っていう、琉依の一言がきっかけだったの」
私にメニューを渡しながら、文ちゃんがネタばらししてくれた。
そっかぁ、あの時屋上で琉依くんがコソコソ言ってたのはそれだったのか。
納得して頷く私に、琉依くんが頬杖をついて笑いかける。
「これでもう誰もメガネクラなんて言えないね」
「あー……かもね。でも、しばらくはいつものままでいくよ」
「えー何で!?」
「だって、急にこんなふうにしてったら絶対注目浴びるし、いろいろ勘繰られそうだし……」
日陰の存在が私にはちょうどいいからなぁ。