好きだからキスして何が悪い?
うっ、そんな子犬みたいな潤んだ瞳で見つめないでください……!


「ダ、ダメなんかじゃないよ」


なんだか断れずに、というか断る理由もないからそう言うと、琉依くんの顔に笑みが広がる。


「やったねー。菜乃ちゃん独り占め!」


恥ずかしげもなくそんなことを言うから、こっちが照れちゃうけど……冗談でも悪い気はしない。

それからも終始笑いながら、三人で楽しくランチを食べたのだった。



ランチのラストオーダーの時間になるまで、まったり居座った私達。

ようやくお店を出ると、文ちゃんのバイトの時間まで、三人で駅前をぶらぶらして時間を潰した。


「じゃ、あたしそろそろ行くわ」


スマホで時間を確認する文ちゃんにお礼を言う。


「今日はありがとね。楽しかった」

「バイト頑張って」

「ん、また学校でー」


私と琉依くんに笑顔を返した文ちゃんは、手を振って去っていった。

これから琉依くんとふたりきりか……。

ちょっぴり意識してしまい、チラリと彼を見上げると、目が合ってドキッとする。


「このままでもいいけど、これ取っちゃおっか」

「え?」

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