好きだからキスして何が悪い?
不安げにふたりを見ていると、元カノさんの方が手を振って改札の方へ去っていった。

別れた如月くんは、こちらに向かって歩いてくる。


うわわ、どうしよう!?

なんか今は会いたくない……っていうか、琉依くんとふたりきりだし!

変な誤解されたら困る!


あたふたしても、如月くんとの距離は数メートル。

すぐに近付いてきてしまった彼は、私達に気付いて少し目を開いた。


「あれ」

「……やぁ」


ぎこちない笑顔でひょいと手をあげる琉依くん。

私は何も言葉が出てこなくて、軽く頭を下げるだけ。

神妙な顔をする如月くんに、琉依くんはいつもの調子に戻って何気なく尋ねる。


「今のマリだよね? どうしたの、久しぶりじゃん?」


さっきの女の子、“マリ”さんっていうんだ。

明るく可愛らしい笑顔を思い返しながら、如月くんがどう答えるのか耳を澄ませる。


「別に、ただそこで会っただけ。つーか、琉依……」


あっさりした回答に少しだけホッとしたのもつかの間、如月くんの視線が私達の間に向けられていることに気付く。

……はっ! そういえば手繋いだままだった!

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