好きだからキスして何が悪い?
先生はさっさと出ていってしまい、準備室に残されたのは私だけ。

お腹空いたし、早く教室に戻ろうと、デスクに置かれた資料を手に取る。


「あと分子模型もって言ってたっけ。どこだろ……」


そんなに広くはない部屋の中をぐるりと見回すと、棚の一番上に置いてあることがすぐにわかった。

けれど、高くて手が届かない。

これは椅子に乗って取るしかないか……。


仕方なくもう一度資料をデスクに置き、回転式のデスクチェアを棚の前にゴロゴロと動かす。

そして、上履きを脱いで椅子の上に乗り、うーん、と手を伸ばした。


その時、コンコンとドアをノックする音が。

誰かが入ってきたことに気を取られた瞬間、ゴロッと椅子が動いて身体がバランスを崩した。

うわゎゎ、転ぶー!!


「失礼しま──」

「きゃあぁ~!!」


男子らしき声を掻き消し、私の叫び声が響き渡る。

重力にあらがえず身体が下に落ち、床にぶつかる痛みを覚悟してギュッと目を閉じた。そして。

──ドスーン!と、案の定衝撃を受けた……のだけれど。


「いたたた……あ、れ?」

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