好きだからキスして何が悪い?
なんとなく考えながら見ていると、彼はどうやら参考書を返しに来たらしく、デスクの上に置いていた。

そして、眼鏡は掛けないまま、こっちを振り返って問い掛ける。


「何か取ろうとしてたのか?」

「あ、そこの分子模型を……」


棚の上を指差して言うと、そこを見上げたソウくんは、おもむろに棚の一段目に足を掛ける。

そこに乗ってスッと手を伸ばし、楽々と模型を取ってくれた。


「ん」

「わ、ありがとう……!」


手渡されたそれを大事に受け取り、尊敬の眼差しを向ける。

高い所のものを軽々と取ってくれるとか、やっぱり優しいしカッコいい!

瞳をキラキラさせている私を、ソウくんは呆れたように見てこう言い放った。


「これだけのために椅子から落ちるとか……どんくさ」


ガーン、と本日二度目の鐘が鳴る。

たしかに私はどんくさいけど。体育の成績なんていつも2だけど。

そんな綺麗なお顔で毒を吐かれると、かなりの打撃が……。

王子様神話を崩されかけて放心していると、ソウくんは無愛想な表情で驚くべき発言をする。

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