好きだからキスして何が悪い?
思いがけない言葉に、私はぱっと顔を輝かせる。


「美紅が私の心配してくれるなんて……!」

「ち、違うよ! 目障りなんだって」


ぶっきらぼうに言って、彼女はがぶりと豪快にスイカにかぶりつく。

口ではキツいことを言いながらも、こうやって隣に来てくれるようになった妹に、私は口元を緩ませた。

私が自分を変えるようになって、少し美紅との関係も良くなってきたのかも。


……ふいに、琉依くんの言葉が蘇る。


『無駄なんかじゃない』

『きっと全部、菜乃ちゃんには必要なことだよ』


そう、如月くんに可愛いと思ってもらうために自分を変えたわけだけど、その他にもきっといい影響が出ているんだよね。すごく些細なことでも。

だからやっぱり、無駄ではなかったんだ。

たとえこの恋が、うまくいかなくても……。


小さく息を吐き出して、私もスイカに手を伸ばそうとした時、テーブルに置いていたスマホが音を立て始める。

画面を見ると、意外な人からの着信だった。

そういえば、お祭りの時に番号教えたんだっけ……と思いながら、一応リビングを出てスマホを耳にあてる。

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