好きだからキスして何が悪い?
「ごめんね、待たせちゃって!」

「全然。こっちこそ、急に呼び出してごめん」

「ううん。どうせ家にいてもゴロゴロしてただけだから」


琉依くんの隣に来ると、笑って話しながら橋の手すりに手を掛けた。

あまり人が通らず、川のせせらぎと木の葉が揺れる音がよく聞こえる中、さっそく話を切り出す。


「琉依くん、話って?」

「ん。今日も可愛いね」


……いやいやいや、噛み合ってませんって。

にこりと笑う彼に、私はへらりと笑顔を返して、もう一度話を促す。


「もうお世辞はお腹いっぱいだから、本題を……」

「本題だよ。菜乃ちゃんは、自分が思ってるより数倍可愛いと思う」


またそんなこと言ってはぐらかす!

……と、文句を言いそうになったものの。

琉依くんを見ると意外にも真面目な顔をしていて、私は言葉を飲み込んだ。


「僕が会った女の子の誰よりも、素直だしウブで純粋って感じで。外見だけじゃなくて、そういうところが魅力的なんだよ、キミは」


手すりに乗せた両腕を組み、川を眺めながら穏やかな表情で言う彼。

なんだか褒め言葉ばっかりで恥ずかしいんですが……。

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