好きだからキスして何が悪い?
如月くんが私の言うことを聞いてくれるなんて。

ちょっぴり胸が温かくなるのを感じていると、琉依くんはにんまりと笑ってこんなことを言う。


「奏を変えたのは、やっぱり菜乃ちゃんだったんだね」

「……え?」

「じゃー後は奏にまかせた! 菜乃ちゃんにしっかり説明してあげてね♪」

「あ、ちょ、琉依くん!?」


ひらりと手を振り、彼は颯爽と去っていってしまった。

意味深な言葉ばかりを残して。


「行っちゃった……」


呆然とする私だけど、すぐに隣にいる彼に意識が奪われる。

ドキドキと胸が鳴り始めて、気道が狭くなっちゃったみたいに息がしづらい。

目も見れないまま、ぐるぐると頭を回転させる。


如月くんは、琉依くんの告白を止めるつもりで来たんだよね?

じゃあ、さっきの『コイツは渡せねぇ』っていう言葉の意味は──。


まさか、とありえない考えが浮かぶけど、ありえなさすぎてすぐに掻き消す。

と、とりあえず何か話そう!


「あの、如月く──」


けれど、私の言葉は最後まで言えずに途切れた。

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