好きだからキスして何が悪い?
でも、ファーストキスを大好きな人が奪ってくれたんだ。

こんなに幸せなことってないよ……。


「ど、どうしよう」

「ん?」

「私、幸せすぎて……如月くんのこと好きすぎて、どうしたらいいか……」


如月くんの腕にしがみつきながら、なにげに告白していた私。

一瞬キョトンとした彼は、ぷっと吹き出して嬉しそうに笑った。


「とりあえずこうしてればいいんじゃん?」

「っ!」


もう一度しっかりと抱きしめられて、胸は高鳴りっぱなし。

ようやく両想いなんだって実感が湧いてきて、じわりと涙腺が緩む。

この腕の力と温もり、夢じゃないんだね……。


熱くなるまぶたを閉じて、私も遠慮がちに愛しい身体を抱きしめ返した。




空に星が煌めくまでの間、私達は赤い橋に寄り掛かったまま話をしていた。

どうしてお祭りに来なかったのかということから始まって、如月くんの中学時代のこと、今地味な姿でいることの理由……

そのすべてを、彼は話してくれた。


まさかパープルの次期リーダーで、地味な格好をしていたのはそれから逃れるためだったとは……。

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