好きだからキスして何が悪い?
*もう、ニセの姿は終わりです*
「菜乃~おめでとーーっ!!」
「あうっ」
ニ学期最初の登校日、家を出てしばらく歩いたところで、後ろからタックルされるくらいの勢いで抱きつかれた。
振り返らなくても、文ちゃんがニコニコ笑顔なのがわかる。
「ふ、文ちゃん! ありがとう」
「本当によかったねぇ。如月くんもやっと素直になったかー」
私の隣に並んで歩き始める彼女は、満足げに腕を組んで頷いた。
想いが通じ合った日、文ちゃんには真っ先に報告していたけど、顔を合わせるとちょっと照れる。
それより、如月くん本人に会う方が照れるけど。
「本当にありがとね。いっぱい協力してくれて」
「そんなの全然いいんだよ。菜乃にはどうしてもくっついてもらいたかったし」
「文ちゃん……」
あぁ、優しい彼女が女神様に見えてくる!
お祈りするように胸の前で手を組み、瞳をうるうるさせて文ちゃんを崇(あが)めていると。
「実はさ。もちろん、菜乃に幸せになってもらいたい思いは大前提にあったんだけど、ちょっとだけよこしまな思いもあって」
「……へ?」