好きだからキスして何が悪い?
まさか、そこまでしてくれるなんて。

やっぱり大胆なやり方に、私は苦笑混じりに言う。


「ぶち壊すって、こういう意味だったんだね」

「まだ後処理が残ってるけどな」

「え?」


如月くんを見上げると、ふいに私の髪に手が伸ばされる。

そして、髪をしばっていたゴムをするりと取られてしまった。


「な、何を……!?」

「皆に見せてやれよ。お前の本当の姿も」


戸惑いながら手ぐしで髪を整えていた私は、その言葉にはっとする。

その時、後ろから足音が聞こえて振り返ると、野崎くんを始め、数人のクラスメイトがすごい形相で走ってきた。

そ、そうだ、後処理! これからが大変だよ!


渡り廊下の真ん中で迫り来る皆にギョッとしていると、テンパりまくる野崎くんが詰め寄ってくる。


「き、き、如月くん! どーいうこと、あれ!?」

「盛り上がったんだからいいだろ」

「いやいやそういう意味じゃ…………って! さ、冴島さん!?」


無愛想な如月くんから、何気なくこっちに目線を向けた野崎くんは、私を二度見して目を見開く。

何をそんなに驚いたのかと一瞬私もびっくりしたけれど、すぐに自分の今の姿に気付いた。

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