好きだからキスして何が悪い?
へらっと笑いながら言う彼に、如月くんが冷めた瞳で目線だけを流し、当然のように言い放った。


「好きだからキスして何が悪いんだよ?」

「っ!」


ひ、開き直った!

しかも、好きだってはっきり宣言してくれちゃったよ……!

内田くんも他の皆も、そして私も、目と口をぱかっと開けた。

そんなのはお構いなしで、如月くんは堂々と言葉をつむぐ。


「地味なヤツ同士が好きになって何か問題あんの? それをどうこう言うヤツの方がよっぽどありえねーと思うけどな、俺は」


その発言を聞いて、これまでいろいろと言っていた皆が、ぐっと押し黙った。

特に女子は、きまりが悪そうな顔をしている。


如月くん……私が彼女達に陰口を叩かれていたことに気付いて、こんなことを言ってくれたのかな。

でも私が黙ったままでいたら、また彼女達は不満に思うかもしれない。

私も勇気を出して、今きっぱり言っちゃおう!


俯きがちなまま唇を結び、前に大きく一歩足を踏み出すと、ザッと音がするくらい女子達が身を引く。

ぱっと顔を上げ、まるでオバケを見るみたいにギョッとする彼女達に向かって口を開いた。

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