好きだからキスして何が悪い?
「私、地味だし変な性格だし、如月くんにはふさわしくないかもしれないけど……好きな気持ちは誰にも負けない自信があるの」


ぽかんとしていた女子達の表情が、だんだん真面目なものに変わっていく。


「だから、皆に笑われても、この恋は絶対諦めない」


……初めてだ、皆の前でこんなに喋ったのは。

こんなに、自分の気持ちをさらけ出せるなんて。


自分自身の変化に少し驚いていると、私の肩にぽんっと手が乗せられた。

振り向いた先には、いつの間にか来ていた文ちゃんが。


「文ちゃん……!」

「よく言った、菜乃」


にっこりと笑った彼女は、私と如月くんを交互に指差して、皆にこんなことを言う。


「このカップル変わってるけど、ふたりとも本当にイイ人だからさ。あったかく見守ってあげようよ、ね?」


言葉の最後で、文ちゃんは野崎くんに意味ありげな目線を向けて微笑む。

その瞳に心を奪われたらしい彼は、ぽっと頬を赤く染めてしっかりと頷く。


「もちろん! 変な意味じゃなく、本当にお似合いだよ、ふたり」


野崎くんは、温かい笑顔で私達にそう言ってくれた。

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