好きだからキスして何が悪い?
すると、私に白雪姫役を代わろうかと言ってきたあの女子が、ごく小さな声でぽつりと言う。


「……いろいろ言ってごめんね」

「悔しいけど認めるわ。冴島さん可愛いし」


素直に謝ってくれた彼女に続いて、目は反らしたままだけど、そんなことを言ってくれる女子達。

キョトンとしていた私はすぐに表情が緩んで、小さく首を横に振った。

少しだけ、わだかまりがなくなったかな? よかった……。


ほっとして如月くんを見上げると、彼も優しく微笑んでくれた。

その時。


「かなでさぁ~~ん!!」


そんな叫び声が響き渡り、皆一斉に体育館の方を振り返った。

数人の男子が走ってくるけれど、先頭にいるのは見たことがない金髪の男子だ。

でも、如月くんは心当たりがあるようで、少しだけ眉根を寄せる。


「アイツ……同じ高校だったのかよ」

「だ、誰?」

「マリの彼氏」


マリさんの彼氏って、パープルの一員っていう1コ下の彼?

お祭りの時に会って、如月くんを引き止めたっていう人か。

前にその話を聞いたことを思い出して、あの人がそうなんだと納得した。

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