好きだからキスして何が悪い?
パープルの在り方が昔とはだいぶ違ってしまっていることを、如月くんは残念がっていたけど、まさかこんなことを言い出すとは。

単純というか、変わってるというか……とにかく本当に如月くんのことを崇拝してるんだなぁ。


微妙な顔をする彼は、口の端を引きつらせつつ、冗談混じりの提案をする。


「じゃ、まずはボランティア活動でもすれば?」

「ボ、ボランティアって嫌いな言葉……! だけど頑張るっす!」


マジでやるのか。と言いたげに、如月くんは口元を片手で隠して笑っていた。

私も必死で笑いを堪えていると、体育館の方から今度は野太い声が聞こえてくる。


「おい、お前ら! なにそんなとこでだべってんだ!」

「うわ、来た!」


学年主任の先生の登場に、慌てて体育館に戻っていく皆。

後輩くん達は、「またお前ら何かしたか!?」と言われて、必死に弁解している。

その隙に、如月くんは再び私の手を握って、逆方向へ走り出した。


「えっ、戻らないの!?」

「最初から戻る気なんてねーよ。お前がその格好のままじゃ絶対注目浴びるし」


はっ、そうだった!

あれだけ会場を湧かせちゃったんだもん、本人達が現れたらまた大騒ぎになりそうだよね……。

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