好きだからキスして何が悪い?
如月くんに従ってバックレようとすると、渡り廊下の柱の陰から、ひょこっと誰かが顔を出した。


「これからパープルはボランティア団体になるかもね~」

「琉依くん!」

「トイレ行ってたらなんか賑やかだったから、ここで聞かせてもらってた」


こちらに出てきた琉依くんは、にんまりと笑いながら如月くんに近寄る。


「見てたよー。お熱いキスシーン♪ 奏もやるねぇ」

「アイツらの思惑を逆手に取ってやっただけだ」


ムスッとして言う如月くんだけど、少しだけ耳が赤くなっている。

さっきはあんなに堂々としてたのに、琉依くんの前だと照れちゃうんだ。

なんだか可愛くて、私はクスッと笑いを漏らした。


「キミ達、どうせしばらくどっか行ってるんでしょ? 連れ戻されないようにね」


琉依くんはやっぱり私達のことがお見通しらしい。

皆を体育館へと促す先生をチラリと見た如月くんは、「あぁ。じゃーな」と言って私の手を引く。

笑って手を振った琉依くんは、体育館の方へ向かう。


「ふーみちゃん! 一緒に行こ」


そんな声が聞こえて振り向くと、文ちゃんが嬉しそうな笑顔を見せているのだった。


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