好きだからキスして何が悪い?
「……如月くん、ありがとう」


キョトンとして私を見る如月くんに微笑みかけ、爽やかな風にふわりと髪を揺らされながら言う。


「私、如月くんのこと好きになってから、いっぱい変われた気がするんだ」


外見だけじゃなくて、中身も。

しっかりと現実を見ることとか、人に想いを伝える勇気とか。

自分に欠けていた大切なものを、たくさん手に入れることができたんだよ。


彼に恋していなければ、私はずっとメガネクラのままだったかもしれない。


「これからもっと毎日が楽しくなると思う。そのきっかけをくれて、ありがとう」


小さく頭を下げると、如月くんは柔らかな笑みをこぼす。


「どこまで素直なんだか」


呆れたように言い、私の髪にさらりと指を差し込む。

その手で頭を支えられ、彼を見上げると、愛おしそうに瞳を細めて私を見つめている。


「こんなに俺の心を動かせるのはお前だけだよ」


彼の瞳に捕われたように視線を絡ませた直後、頭を引き寄せられて。


「……俺のお姫様の、菜乃だけだ」


そう、耳元で甘く囁かれた。

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