好きだからキスして何が悪い?
不良に絡まれた私の肩を片腕で抱き寄せて、

“コイツは俺のなんだ。指一本触れさせない”

なんて言われたりしちゃったらもう、もう……!!


「何を妄想してるかはあえて聞かないけど、今面白いことが起こってるよ」

「えっ!?」


文ちゃんの冷静な声で我に返り、彼女が指差すコートを見やると。

パスされたボールを器用に操る眼鏡男子──如月くんがいた。


キュッとシューズを鳴らし、流れるような華麗なドリブルでディフェンスを抜き、そのままシュート。

指先まで綺麗なフォームで、彼の手からボールが離れる。

放物線を描いたそれは、パシュッと気持ちの良い音を立ててゴールに吸い込まれていった。


「わ、如月くんすごい……!!」

「ああ見えて運動神経いいんだね。ちょっと見直す」


腕を組んで感心する文ちゃんだけど、ちょっとどころじゃないよ!

私にはものすごくカッコよく見えた!


ドキドキと胸を踊らせるけれど、周りの女子達は「あれでイケメンならね~」なんて言って残念がっている。

十分イケてませんか!? 皆さん私より理想高いんじゃ……。

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