好きだからキスして何が悪い?
輝かせたままの瞳で如月くんを追い掛けると、男子から「ナイス!」「やるじゃん」と声を掛けられている。

やっぱり無表情なものの、皆に応えるように軽く手を挙げていて、いつもと違って生き生きしているように見えた。

そんな、彼の人間らしい一面を見られたことが、なぜだかすごく嬉しかった。



その試合は、見事私達のクラスの勝利。

コートから戻ってくるノリのいい男子達は、女子とハイタッチして喜び合っている。

それを見ながら、文ちゃんは大きく伸びをした。


「もう少ししたらあたし達の試合かー。絶対勝つ!」

「さすが文ちゃん、頼もしい」

「お、藍原達の出番か。応援しに行くわ」


ふたりで話していると、学級委員の爽やかボーイ、野崎(ノザキ)くんが話し掛けてきた。

一応私にも話を振ってくれるけど、彼、文ちゃんのこと気に入ってるんだよね。わかっております。

仲良く話すふたりに気を遣って、私はまだ試合している隣のコートの外側へ少し移動した。

その時。


「危ないっ!」


そんな声がコートの方から響き、ぱっと顔を向けると、こっちに向かってバスケットボールが飛んでくるのが目に入った。

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