好きだからキスして何が悪い?
そういえば、あれからソウくんを学校で見ることはないし、本屋にも行っていないから会っていない。


「どうもなってないよ。会ってないから」

「あれ、なんだ。もしかしたら菜乃の報われない初恋が始まるかも?って期待してたのに」

「報われないこと前提ってヒドい」


ほろりと涙をこぼしつつ、私ものっそりとバッグに荷物を詰める。

まぁ、私がソウくんに恋したとしても、報われないことは明確ですけどね。

というか、今の私は如月くんに恋してるような感じか。あはは……


「…………はっ!?」

「ん?」


息を吸い込みながら声を上げ、目を見開いて固まる私を、文ちゃんは怪訝そうに見る。


たった今、気付いたけど……

彼ばっかり目で追って、些細な仕草にキュンとして、プリントを渡す時に私の方を向いただけでドキッとしてる、この状態。

これって……ま、まさか……!


「私、恋してるのかも……!?」


ぽつりと漏らした一言に、文ちゃんは数回瞬きをして、「えぇぇ!?」と叫んだ。


「誰に!? てか、今の話の流れでそれ暴露するのが謎だけど!」


驚愕の表情で私に詰め寄る文ちゃん。

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