好きだからキスして何が悪い?
*ふたりの秘密ができてしまいました*
はっきりと自覚してはいないものの、恋らしき芽生えを感じて数日後の土曜日。
本を借りようと十時前に家を出て、ひとり市立図書館に向かって歩いていた私は、見慣れた姿が視界に入ってドキリとした。
あれって……如月くん!?
やぼったい黒髪に、しっかりとシャツをズボンにインした制服、でもすらりとスタイルの良い後ろ姿。
間違いなく如月くんだ。
「な、なんで……!?」
急に心臓の鼓動が速くなる。
何でこんなところにいるんだろう。もしかして家近いのかな?
でも、部活にも入っていないはずなのに制服だし、変なの……。
どうしよう、思いきって話し掛けてみる?
でもそんなに話したことないし、話題があるわけでもないし……とか言ってたら、いつまでも進展しなさそうだし。
ぐるぐると考えているうちに、彼は商店街がある方へと歩いていく。
彼がどこへ向かうのか気になって、私もつい探偵みたいに後をつけてしまう。
って、これじゃストーカーじゃん!
自分に軽く引きながらも、一定の距離を保ちつつ如月くんを観察していると、彼は私がよく行くあの本屋に入っていった。