好きだからキスして何が悪い?
わははと笑いながら言った店長さんの言葉に、私は思わず雄叫びをあげてしまった。

目をまん丸にしてこっちを向くふたり。


うそ……嘘だ!

あの無口で夜の闇みたいに暗ーい如月くんと、毒舌だけど超イケメンのソウくんが同一人物だなんて!!


……あ、でも化学準備室で会った時、彼は眼鏡を掛けていたようだったし、背格好もよく似てるなとは思ったっけ。

頭の中でソウくんに眼鏡を掛け、俯かせて黒髪で顔を隠させてみる。

うん、たしかに如月くんかも……。

でもでも、まだ信じられない!


開いた口が塞がらない。

そんな私に気付いて一瞬驚いたソウくん……もとい如月くんだけど、すぐに呆れたような表情に変わった。

私達を交互に見た店長さんは、思い出したように「あっ」と声を上げる。


「そういえば菜乃ちゃんとソウくんは同じ高校か! もしかして知り合いだったかな?」


その問い掛けに、如月くんはちらっと私に流し目を向けながら小さく頷く。


「……えぇ、俺はよく知ってます。妄想癖のあるドMで二次元のイケメンが大好きな腐じょ──」

「ちょーーっと!!」

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