好きだからキスして何が悪い?
「菜乃ちゃんは今日何か予定ある?」

「えっと……」


真顔の店長さんに問い掛けられて、私は言葉を濁す。

予定なんて図書館に行こうと思っていたくらいで、文ちゃんはバイトだし遊ぶ人もいない。

正直に暇だと答えようか迷っていると、私より先に如月くんが口を開く。


「ないよな。友達もひとりしかいねぇし」

「そうだけど失礼です!」


この人、本当に意地悪だ……。

そして勝手に決め付けないでほしい。

今日はたまたま予定がないだけなんだから。そう、たまたま!

ムッとする私と、しれっとしてる如月くんを宥めながら、店長さんは苦笑を浮かべて言う。


「もしよかったらお手伝いしてくれるとありがたいなぁ。今日ひとり来れなくなっちゃって、しかも昨日新刊がどーんと入ったから、まだ作業がいっぱいあるんだわ。もちろんちゃんとお給料は払うし」


うーん……たしかにお給料をもらえるのはありがたい。

バイトもしてみたいって気持ちはあったけど、なかなかその一歩を踏み出せずにいた。

店長さんの方から頼まれてるんだし、何よりここは大好きな本屋だし。

それに……。

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