好きだからキスして何が悪い?
なんてオンナだ!

と驚愕したものの、それはツンデレな文ちゃんの照れ隠しだということはすぐにわかった。


だって、文ちゃんは私なんかがいなくても確実にモテる。

特別なメイクをしなくても綺麗ではっきりした顔立ちで、サバサバした頼れるお姉さん系の性格。

身長は160センチ以上あってスタイル抜群だし、ブラウンの長い髪はさらさらストレート。

どこをとっても魅力的で、実際にこれまで何回も告白されている。


だから、文ちゃんがこうして一緒にいてくれるのは、皆から外れてしまう私を気遣ってくれているからなんだ。


「ま、同クラになったからには、これから何かとパシリにするだろうけどよろしくね」

「都合のいい女ですか、私は……」


結構ヒドイけどね。そんな美しい笑みで言うことじゃないけどね。

でも、他の友達にするのと同じように接してくれることが嬉しい。

ツンデレドSな文ちゃんが大好きだ。


「文ちゃんが男だったらなぁ……」

「その妄想だけはやめて」


うっとりと眼鏡越しに空を見上げて言う私を、一歩引いた彼女は心底嫌そうに見ていた。


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