好きだからキスして何が悪い?
一応審査員がいて、一番点数が高かったクラスには何か特典があるらしいけどね。


「じゃ、何でもいいんでとりあえず候補出してくださーい」


前に出た学級委員の野崎くんがゆるーく声を掛けた。

最初は皆考えていたけれど、ひとりが意見を出すと、後からぽんぽんと飛び出す。

“アイドル完全コピー”とか“女装”とか、真面目なものからふざけたものまで、とりあえずすべての意見を文化祭実行委員の女子が黒板に書いていった。


私と如月くんは、お互い静か~に座ってなりゆきを見守るだけ。

私はあまりクラスに馴染んでいないし、皆と思い出作りしたいというわけでもないから、何でもいいというのが正直なところ。

去年やったマジックショーだって、私は完全に裏方だったし。


「女装って男全員やんの? まじありえねー」

「何で女って女装が好きなんだろな」


前方に座る男子達からそんなぼやきが聞こえて、たしかに好きだなぁと思う。

もし女装に決まったら、まさかの如月くんもやることになる……んだよね?

ちらりと彼を見て、頭の中で変身させてみる。

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