好きだからキスして何が悪い?
野崎くんは自分の名前が出されて、「僕じゃない方がいいってー」と謙遜しながらも、ちらちらと文ちゃんの方を見ている。

そうだよね、王子様役やるとしたら、シンデレラ役はぜひ文ちゃんにやってもらいたいよね。

でも文ちゃん、シンデレラより意地悪なお姉様の方が似合いそうだけど。ここだけの話。


一方の内田くんはというと。


「じゃ俺のお姫様役やりたい人、手あげて~」

「「はーい♪」」


挙手した女子数人を、「だーれーにしーよーうかな」と選ぶチャラ男っぷりを発揮していた。

女子達はきゃははは!と笑い転げて、なんだかおかしな飲み会みたいなノリになっている……。


「くだらねぇ……」


隣でボソッと呟かれた独り言に、私も苦笑いしながら激しく共感した。

ところが、ライトブラウンのふわっとした髪の毛先をいじりながら、内田くんがこんなことを言う。


「でもさ、俺とかがやってもインパクトなくね?」

「ただのチャラ王子になりそうだもんねー」

「こういうのは絶対やらなさそうなヤツがやるのが面白いんだよ」


周りの女子と頷き合う内田くんの言葉に、野崎くんも腕を組んで考え始める。

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