好きだからキスして何が悪い?
どうしよう、如月くん!

困りながらぱっと隣を向くと、彼の横顔は……

死んでる! 死んだ魚の目をしています!!


ずーんと暗く沈んだオーラを漂わせる彼にギョッとしていると、突然文ちゃんが立ち上がった。


「でも、劇って準備もすごく大変でしょ。皆やれる? 大道具とかどうすんの?」


その発言で、皆は一瞬冷静になる。

あぁ、文ちゃん……助け船を出してくれたんだね!?

やっぱり文ちゃん素敵! 私のヒーロー!


しかし、感動して瞳をうるうるさせたのもつかの間、野崎くんがにっこりと自信に満ちた笑みを浮かべる。


「まかせて、藍原。去年赤ずきんちゃんの劇やった先輩がいるから、その時の大道具を借りれないか交渉してみるよ」


おぉーと再び皆が声を上げ、文ちゃんはちらりと心配そうに私を見た後、渋々腰を下ろした。

あぁ~、せっかく文ちゃんが止めてくれたのに!

野崎くんが文ちゃんにイイトコロ見せたいってのもわかるけど……。


「野崎のヤロー……コロす」

「き、如月くん、抑えて!」


ダークな彼から恐ろしい呟きが聞こえて、私はひとりあたふたしていた。


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