好きだからキスして何が悪い?
結局多数決で、白雪姫のパロディー“眼鏡姫”という謎の劇をやることに決定。
『準備や台本は全部こっちで考えるし、冴島さんと如月くんは舞台で動くだけでいいから』と説得されて、仕方なく承諾してしまった。
私達の動きに合わせて面白いナレーションを入れるから、私と如月くんは何も喋らなくていいらしい。
準備もすべておまかせだからラクなのだろうけど、面白がっている皆にいったいどんな内容にされるのか不安すぎる。
数日後からさっそく台本や衣装の打ち合わせが始まったけれど、肝心の主役である私達はかやの外だし。
これって一種のイジメじゃないでしょうか……?
「ま、どうなるかあたしも興味あるんだよね、正直」
6月も半ばを過ぎたある日の自習中、課題そっちのけで眼鏡姫の準備を進める皆を、窓際に立って遠巻きに眺めながら言う文ちゃん。
隣に並んで立つ私はカクリとうなだれた。
この間は阻止しようとしてくれたくせにー。
「結局文ちゃんも楽しんでるんだ……」
「だって、菜乃にとったらチャンスでもあるし。気になる彼の相手役だよ?」