好きだからキスして何が悪い?
「……この場合はどうしたらいいんでしょうか?」


わからないことをさっそく聞くと、恋愛の師匠はニヤリと口角を上げてこう言った。


「追うしかないでしょ」



 *



文ちゃんの言葉に背中を押されて、私もこっそり教室を抜け出した。

『皆が気付いたらうまいことごまかしとくから』と言ってくれた文ちゃんに感謝!


他のクラスではもちろん授業が続いている。

誰もいない静かな廊下を通り抜けるのは、ちょっとしたスリルがある。

だって私、授業を抜け出したことなんて一度もないし!


ドキドキしながら如月くんを追うと、彼は渡り廊下を歩いて特別教室がある棟へと向かい、階段を上がっていく。

どうやら帰るわけではなさそうだ。

彼を呼び止めようと、2.5階にあたる階段の踊り場まで一気に駆け上がった時。


「何でついてくるんだよ」

「ぅひゃあ!!」


すでに上がっていったと思った彼は、踊り場から数段上にいただけで、思いっきりびっくりしてしまった。

私がついてきてるのもわかっていたんですね……。

不機嫌さを露わにされて、勢いで来てしまった私は急にきまりが悪くなる。

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