好きだからキスして何が悪い?
「えっと、どこに行くのかなーと思いまして……」

「それを知ってどうする」


うっ、どうもしません……。

何を話すかも考えずに追ってきちゃったもんね……私のバカー。


息を切らせながら、浅はかすぎる自分にガックリと肩を落としていると、如月くんは気だるげに眼鏡を外す。

露わになった綺麗な切れ長の瞳に、当然のごとく目が奪われる。けれど。


「……俺と一緒にいるとロクなことねぇぞ」


ボソッと呟かれた一言に、うっかり見惚れそうになっていた意識が引き戻された。

それは、“関わるな”と言っているのと同じこと?

突き放されるのは今に始まったことじゃないのに、チクリと胸が痛む。


「しょーもない劇なんかやらされることになるし、今も誰かに見られたら変な噂立てられるかもしれない。この間みたいに、絡まれて怖い目にあうことだってあるんだぞ」


少しうっとおしそうに言う如月くん。

そうだよね……私といたら彼にだって迷惑が掛かっちゃうんだ。

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