好きだからキスして何が悪い?
でもまぁ、外見や性格を皆と釣り合うように変えようと思わない自分もいけないか。
そんなふうに思いながら、落としたバッグを拾おうと身を屈めた時。
誰かの手が伸びてきて、私より先にそれを拾い上げた。
「あ……」
見上げた先にいたのは、ぶ厚い眼鏡を掛け、少し長めの黒髪で表情を隠された男子。
でも、きっと無表情だろうことは、笑っていない口元から想像がつく。
身長は175センチほどあるだろう彼は、私を見下ろして無言でバッグを差し出した。
「あ、ありがとう……!」
他の男子には無意識に敬語になってしまうのに、彼とは普通に話せる。
たぶん、同じオーラを感じるからかな。
バッグを受け取ると、彼はやっぱり無言でくるりと背を向けた。
彼も、私と同じく“メガネクラ”という異名を持つ男子──如月 奏(キサラギ カナデ)くんだ。
クラス替えで今年度から一緒になった男子で、カッコイイのは名前だけだと、女子が話しているのを聞いた。
たしかに見た目や雰囲気は近寄りがたいけど、私は勝手に同じ種族だと思っている。
そんなふうに思いながら、落としたバッグを拾おうと身を屈めた時。
誰かの手が伸びてきて、私より先にそれを拾い上げた。
「あ……」
見上げた先にいたのは、ぶ厚い眼鏡を掛け、少し長めの黒髪で表情を隠された男子。
でも、きっと無表情だろうことは、笑っていない口元から想像がつく。
身長は175センチほどあるだろう彼は、私を見下ろして無言でバッグを差し出した。
「あ、ありがとう……!」
他の男子には無意識に敬語になってしまうのに、彼とは普通に話せる。
たぶん、同じオーラを感じるからかな。
バッグを受け取ると、彼はやっぱり無言でくるりと背を向けた。
彼も、私と同じく“メガネクラ”という異名を持つ男子──如月 奏(キサラギ カナデ)くんだ。
クラス替えで今年度から一緒になった男子で、カッコイイのは名前だけだと、女子が話しているのを聞いた。
たしかに見た目や雰囲気は近寄りがたいけど、私は勝手に同じ種族だと思っている。