好きだからキスして何が悪い?
如月くんは私を一瞥し、少しだけうっとおしそうに言う。


「この間のことがあったからか? あれはあいつらが仕掛けてきたんだろ。それに、一回痛い目に合わせとかねーとまた同じことするぜ」

「そうなんだけど……! 下手したら如月くんが悪者になっちゃうでしょ? そんなふうになるのは嫌だから……」


たとえ誰かを守るためであっても、暴力を振るったら悪者にされることもある。

そんなふうになってほしくないし、パープルのような人達と同類になってほしくないという想いもあった。

彼らが皆悪い人だというわけではないだろうけど、やっぱり危ないことには巻き込まれないでほしいし……。


屋上のコンクリートに降り立つ鳥を眺めながら考えていると、如月くんは冷たい声で言い放つ。


「何でお前に指図されなきゃいけないわけ?」

「あ……で、ですよね!」


あはは、と渇いた笑いを漏らした。

私が注意出来る立場じゃないもん、何様って感じだよね。ごもっともです。

余計なこと言っちゃったな、とちょっぴり後悔していると。


「……ひとつ教えてやるよ」


少しだけ柔らかくなった声がして、落としていた目線を上げた。

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