ゆめ
駅から会社まではさほど遠くない。
会社のオフィスに着いて、垂れる汗を拭きながら大きな溜め息をつく。
すると、誰かが急に後ろから僕の肩を軽く殴った。
ビックリして振り向くと、そこにはイタズラな笑みを浮かべた同僚の『加藤 隼人』がいた。

「市川くぅ〜ん!」

「やめろよ、気持ち悪い。」

コイツは人をからかうのが好きな奴で、よくちょっかいを出してくる。
だけどまぁ、いざという時は頼りになるし、根は良い奴だ。

「どうしたんだよー!
そんなでっかい溜め息なんかついちゃって!
奏多らしくないぞ〜!」

聞かれてたか。
僕は電車での出来事を隼人に話した。

「ぷっ…あっはははは!!
おまえって本当に抜けてるよなぁ!!」

「うるせぇ!」

「だから彼女できないんだよー!!」

隼人が僕を指さして笑う。
後で覚えておけコイツ…。
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