笑顔の裏側に
「優美、先生まで…。」

ひどく驚いているようだった。

「すみません。お邪魔しています。」

「昨日、帰ってくださいと申し上げたはずですが…」

いまいち状況が理解できないのか表情が鋭くなる。

それが向けられたのは、私ではなく、先生だった。

「あの後、帰ろうと思いましたが、全然熱が下がらなくて心配で泊まらせて頂きました。勝手にすみません。でも案の定、優美さんは夜中に起きて戻しておりました。今朝もまだ微熱があって…」

先生がそこまで言うと、それ以上は聞かないと遮るようにお母さんは言い放った。

「そうですか…。ありがとうございました。でも電話で言ったはずです。これは家庭の問題だと。」

まずい。

このままだと先生の方に怒りの矛先が向けられてしまう。

お母さんはきっと先生を傷つける。

このままだと学校に訴えるとか言いかねない。

「お母さんやめて。私が悪いの。だから先生は

「あんたは黙ってなさい。」

その一言で怯んでしまう。

でもこのままじゃ先生が傷ついてしまう。

どうしたら…。

考えているうちにお母さんがまた話し出す。

「保護者の許可なしで勝手に家に泊まるなんて社会人としての責任はお持ちなんですか？」
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