笑顔の裏側に
「許可を取らなかったのは軽率な行為でした。でもあのまま一人にしたら脱水で倒れてたかもしれません。教師は保護者の方から大切な生徒達を預かっています。だから私は苦しんでいる生徒を、助けを必要としている生徒を見過ごすことはできません。」

お母さんをしっかり見据えて先生は静かに言った。

だけどお母さんの瞳は鋭く光っている。

「先生のお考えは分かりましたが、この子があなたに助けを求めたんですか?違いますよね?先生は」

「やめて!!先生は悪くないの。だから先生を責めないで。私がちゃんとしていなかったからいけな

バシンッ!

力強い音が緊迫とした室内に響く。

まだ体調が万全じゃないせいか、そのまま床に倒れてしまった。

「もちろんあなたが全部悪いわよ。先生にまで迷惑かけて。本当に情けないわ。自分のことは棚にあげて私を責めるのね。」

「ちが…」

お母さんがどんどん私の方に詰め寄ってくる。

顔は笑ってるけど、瞳は笑ってない。

きっとまた殴られるんだ。

そう思ってお母さんが手を振り上げた瞬間、ギュッと目を瞑る。

でもいくら経っても痛みがこない。

目をゆっくり開けると、私の目の前にはお母さんの手を抑えている先生がいた。

「先生、離して下さい!」

予想外だったのかお母さんの声が響き渡る。
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