笑顔の裏側に
「もうそこまでにしてください。」

今までに聞いたことないくらい低い声で先生はそう言った。

お母さんも少し怖くなったのか一瞬怯んだ。

「これは家庭の問題です。先生はこれ以上干渉しないでいただけますか?学校に訴えてもいいんですよ?」

勝ち誇った表情で脅していた。

でも先生は平然としている。

このままだと先生の責任問題になってしまう。

私が悪いのに。

何とかして止めないと。

口を開こうとした途端、

「そうなさっていただいても構いませんよ?でもそんなことよりも大切なことがあるんじゃないですか?」

先生が諭すように言ったが、その言葉には怒りがこもっていた。

「何がおっしゃいたいのですか?」

お母さんは完全にペースを乱されているようだった。

脅せば引くとでも思ったのだろう。

でも先生にはその手は聞かないようだ。

「ご自分の胸に手を当てて考えてみてください。私が気づいてないとでも思いましたか?頬の腫れ、腕の痣…。挙げたら切りがありません。それに今のことで、確信しました。」

先生の言葉に私とお母さんは絶句した。

いつからバレてた?

必死に隠してきた私がバカみたいじゃない。

どうして?

知ってたのに私を問い詰めて来たの?

某然と立ち尽くす私をお母さんが睨む。
< 108 / 518 >

この作品をシェア

pagetop