笑顔の裏側に
「優美、あなた…

お母さんからまた怒られる。

私がちゃんとしてないからだと。

でもすかさず先生は言った。

「何を聞いても、優美さんは何もないの一点張りでした。必死に隠して泣き言一つ言わない。」

どうしてそこまで守ってくれるの?

それでもその言葉はお母さんには届かない。

立場が悪くなったのか、

「優美、帰ったら、ゆっくりと話しましょう。仕事があるので、失礼します。」

そう言ってリビングを出て行ってしまった。

完全に瞳が怒りに満ちている。

きっとまた殴られるんだ。

絶対に誰にもバレてはいけない秘密がバレてしまった。

今までのようには済まないかもしれない。

そう思うと怖くてたまらなかった。

私はそのまま床に座り込んでしまった。

体に力が入らない。

張り詰めていた雰囲気から解放されてホッとしてしまった。
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