笑顔の裏側に
よくよく考えてみれば、俺は嫌われてるんだ。

しつこく麻生に干渉し、何度も傷つけてきた。

今日だって、もうこれ以上優しくするなとまで言われてしまった。

麻生が何を勘違いしているのかはわからないが、俺が好かれていないことは一番良く俺がわかってる。

だから俺は麻生を救えればそれでいい。

麻生の本当の笑顔を取り戻すことができるなら…。

「そう…。告白はしないのね？」

いいや、もう告白済みだ。

でもあれはちゃんとした意味で受け取ってくれているのだろうか？

「いいや、もうした。」

「は！？」

俺の言葉に驚いたのか愛ねえは大声を上げ、慌てて口を抑える。

「それで、断られたの？」

「まだ返事はもらってない。」

そう言うと愛ねえはうなだれたように椅子に座り直した。

「まあ、応援してるわよ。何かあったらいつでも言いに来なさいね。」

面白がって構ってくるけど、本当は優しいやつ。

人の気持ちに寄り添うのが上手でいつだって誰かを励ましている。

「ありがとな、愛ねえ。」

俺は愛ねえの瞳を見てしっかり言った。

「やあね。改まっちゃって…。」

こうやって真面目な雰囲気を壊して照れ隠しをするのも愛ねえらしい。
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