笑顔の裏側に
そんな私を見て愛先生は少し微笑み、続ける。

「歩ね、すっごく心配してるのよ。優美ちゃんのこと。だからね、あなたのことでたくさん悩んで傷ついてる。」

そうだよね。

いつだって私は先生にきつく当たってきた。

「ごめんなさい…」

「責めてるわけじゃないのよ。でもあいつの気持ちも分かってやって。あいつさ、昔っから一つのことに真っ直ぐにぶつかっていくタイプだったのよ。いっつも一生懸命でさ。だから空回りしたり、誤解されることも多くてね。でもあいつの気持ちに嘘はないの。少しでもいい。少しでもいいからあいつのこと、信じてみてやってくれないかな?」

愛先生の言葉が胸に刺さる。

私だって感じてた。

いつだって真っ直ぐぶつかってきてくれている先生を。

ちょっぴり強引だけど一生懸命私に寄り添おうとしてくれることも。

だけどそれが私には少し辛い時もあった。

先生が好きだから。

嫌われたくなくて。

素直になれなくて先生を突き放すような言葉を言ったりした。

信じてないわけじゃない。

むしろ信じたい。

だけど怖いのだ。

傷つくことが。

誰かに嫌われることが…。

込み上げてくる涙を必死に抑えて私は震える声で言った。

「信じてないわけじゃないんです。でも先生は優しいから私に同情しているだけなんです…。」

時より私を見つめる悲しそうな瞳も。

そっと抱きしめてくれるのも。

ただ私に同情しているだけ。

それ以上でもそれ以下でもない。

そう思うと胸が苦しくて溢れる涙が頬を伝った。

そんな私を見兼ねて愛先生はそっと私の肩を抱いて言った。

「そうかもしれないわね。でも同情ってそんなに悪いことかしら?」

予想外の返答に私は驚いた。
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