笑顔の裏側に
同情を悪いこととは思わない。

でも実際に経験してないのに、分かったようなことを言われるのは腹立たしいのも事実で。

それに別に哀れんで欲しいわけじゃない。

愛先生はそのままどこか遠くを見つめて続けた。

「同情ってさ、誰かの悲しみや苦しみを自分のことのように一緒になって悲しんだり、苦しんだりすることでしょ?だから私はあいつがしていることがたとえ同情からだとしても、それがいけないことじゃないと思うし、優美ちゃんを思う気持ちが上辺だけっていうことにはならないと思うな。」

分かってる。

先生の気持ちに嘘がないってことは。

でも先生の哀れむような瞳が頭から離れない。

かわいそうと思われるのは余計に辛い。

自分自身で自分をかわいそうだと認識せざるを得なくなってしまう。

それにかわいそうという理由だけで優しくされるのは本当の優しさじゃない気もするのだ。

それは単に私がその優しさを素直に受け取れないだけなのだろうか?

でも中途半端な優しさは傷つけ合うだけで。

最後まで救えないのなら、手を差し伸べないのも一つの優しさだとも言える。

何が本当で何を信じればいいんだろう?

愛先生の言葉で一層分からなくなる。

「気に障ったならごめんね。」

何も言わない私を怒ったのだと思ったのだろう。

怒ってるわけじゃない。

「そういうわけじゃなくて…。」

何を言ったらいいか分からず、当たり障りのない言葉で返す。
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