笑顔の裏側に
「すみませんが、そのような類の話でしたら、もう失礼してもいいでしょうか?」

失礼にもほどがある。

私からの話なんて何もない。

「おい、ちょっと待てよ。違うんだ。本題はこれからだ。」

「何ですか?」

先にそれ言えよ。

「体調、大丈夫か?俺も気づいてないと思ったか?気づかれないと思ったかもしれないが、ここにところ、顔色が悪い。あまり寝てないんだろ?朝練もはいってきて大変なのは分かるが、自分の体、大切にしろよ。あと、もう少し力、脱いてもいいんじゃないか?」

何で…。何で知ってるの?

確かに最近、2〜3時間しか寝ていない。

私は全国記述模試で結果を出さなければならないのだ。

前回、数学が少し下がっていたし、これ以上下げたら、どうなるか分からない。

だから体育祭だなどと浮かれてはいられないし、朝練が入ってきたからと言って勉強時間を削るわけにもいかない。

もうあと1年もないのだ。

そんなに先生のようにゆっくりしていられない。

「大丈夫です。私は私なりの考えがあってこのようにしています。話はそれだけですか?」

「ああ…。」

「では、失礼します。お心遣いありかどうございました。」

私はあえて笑顔でその場を去った。


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