笑顔の裏側に
すべてを話すことはできない。

私の心の整理もまだできてないから。

だから少しだけ。

少しだけだけど、許して欲しい。

いつか、いつかきっと話すから。

だからそれまで待ってて欲しい。

私の心の整理がつくまで。

私は大きく深呼吸をして話し始めた。

「本当にごめんなさい。こんなにも優しくしてくれてる2人を騙すようなことをしてて。私にはまだ2人に隠してることがあります。だけどそれはまだ話すことができません。まだ私自身も混乱していて…。本当にごめんなさい…。」

「いや…。俺の方こそごめんな。無理やり聞きただそうとして…。俺はお前が話せるようになるまで…話したいって思えるまで待ってるよ。」

先生の言葉に涙が込み上げる。

どうしてそんなにも優しいのだろう。

いつだって私の欲しい言葉をくれる。

「でもこのままじゃいけないと思うんです。だから少しだけ…少しだけだけど、私の話聞いてくれますか?」

2人の温かいぬくもりに背中を押されて私は言った。

「この身体中の傷も痣も…全部、お二人が思っている通りです。先生にはぶつけたとか、階段から落ちたと嘘をついてきましたが、本当は…」

私は母親から暴力を受けている。

ただそう言えばいい。

なのになぜか口が重い。

私は本当は認めたくないのかもしれない。

実の母親から愛されていないという事実を。

自分の存在がそれを受けるのに値しないことを。
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