笑顔の裏側に
車の中は私に気を遣ってか、先生は何も話しかけてはこなかった。

それに私も先生に告白したことを思い出すと、恥ずかしくなって何も言えなくなる。

車の中というこんなに閉ざされた空間で2人きりなんて心臓に悪い。

私は窓の外を眺めて気を紛らわしていた。

意外に速く家に着いて2人でリビングのソファーに座っていた。

先生と近くてすごく緊張する。

意識しないようにしようとすればするほど余計に意識してしまって胸が苦しくなる。

私はいたたまれず、立ち上がってテーブルの携帯を手にとった。

そして愛お姉ちゃんにメールを送る。

「愛ねえにメール送ってんの?」

先生がいきなりと覗き込んで来て思わず固まってしまう。

「ねえ、俺にも教えてよ。アドレス…。」

そう言って先生は携帯を取り出し、教えてもらう気満々だった。

「なんかさ、愛ねえは知ってて俺だけ知らないなんてショック…。」

ショックって…。

可愛すぎる。

「いいですよ?」

そう言えばパッと表情が明るくなった。

アドレスくらい全然構わないのに。

先生には気づかれないように笑いを堪えた。
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