笑顔の裏側に
「ほんと、お前にはかなわない。」

そうして抱きしめられる。

かなわないってどういう意味だろう?

私に言わせれば、先生の方がすごいのにな。

こんな私を受け入れ、愛してくれたのだから。

先生は私を一度離して向き合う体勢をとった。

「これからたくさん辛い思いさせるかもしれない。少なくとも学校ではお前の彼氏としてそばにはいられない。それでもいいか?」

そんなこともう覚悟はできてる。

卒業まで約半年。

それまでの辛抱だ。

それに私はたくさんの言葉を先生からもらった。

それだけで頑張れる。

だから大丈夫。

「はい。」

そう言うと先生は安心したように微笑んだ。

「よろしくな。」

「こちらこそ。」

そうして私たちはキスを交わした。

私のファーストキス。

そう思うとすごく照れ臭い。

今の私、きっと顔が真っ赤だ。

「顔真っ赤…。」

先生は私を見て微笑む。

「でも可愛い…。」

その言葉に心臓が跳ねる。

そんなこと言われたら、怒れないじゃない。

恥ずかしくて私は先生に抱きついた。

私はすごく幸せ者だ。

こんなに先生に愛されて。

「先生、ありがとう。」

「うん。」

先生にそっとつぶやいた。
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