笑顔の裏側に
そうして全国記述模試も終わり、体育祭当日。

受験生のため、あまり出場する種目はないが、クラス対抗大縄では1位となった。

朝練の成果があったのだと思うと、少しうれしい。

そうして今から代表リレーが始まる。

走り出しは良く、現在トップだ。

私はアンカーのため、みんなの走りをぼんやりと見ていると、3走目の男子が派手に転んだ。

後ろから2位の子と競り合ってバランスを崩したようだ。

それにより、1位から4位に転落。

4走目の男子が2位までに登りつめてくれ、残るはアンカーの私。

1位との差はずいぶんあるものの、決して無理ではない。

私は成績優秀、運動神経抜群のなんでもできる人じゃなきゃいけない。

ここで何としてでも、抜かして私に名誉を守らなくていけない。

そう思っていながら、ただひたすら走る。

でもなぜか歓声はどんどん遠くなり、こんなに走っているのに、ゴールがぼやけてよく見えない。

周りの景色はただ真っ白で、何もない。

ゴールはどこだろう。

そう思った時、ゴールテープが体に当たり、ピストルが鳴って、終わったと分かった。

そのまま走り終わった人の待機場所に向かっていたそのとき知らない男子とぶつかりそのままバランスを崩して私は倒れた。

地面に打ち付けられた痛みと暑さからか少し気分が悪いなと思って顔をしかめる。

周りのざわざわとした声が次第に遠くなり、そのまま意識が途切れた。
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