笑顔の裏側に
「全然大丈夫ですよ?ありがとうございました。」

お願い…。

これ以上何も聞かないで。

優しい言葉をかけないで。

泣いているのがバレてしまう。

「本当に?」

「本当に大丈夫です。せっかく電話をいただいたんですが、体調がまだ優れないので、もう切らせていただきますね?」

もう限界に近い。

嗚咽を押し殺すことで、息が荒くなっていく。

声が震える。

「そっか…。ゆっくり休めよ。」

「ありがとうございます。失礼します。」

そう言ったと同時に電話を切る。

すると堰を切ったように涙が次々と零れ落ちていく。

時より嗚咽が漏れ、涙は止まることを知らないようだった。

携帯を握りしめながら何度も心の中で先生に謝る。

そして涙を袖で拭いながら先生からのメールを開いた。

“体調、大丈夫か?”

“電話出ないけど、何かあった?”

“メール見たら、連絡ちょうだい”

短くても先生の優しさがたくさん詰まってる。

胸が熱くなる。

涙は溢れ、零れ落ちて私の服を濡らしていく。

このまま涙が心を綺麗に洗い流して欲しかった。

全てを投げ捨てて忘れてしまいたかった。

先生、会いたいよ。

そばにいてよ。

ぎゅっと抱きしめて---。

私はひたすら携帯の画面を見つめながら涙を流した。
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