笑顔の裏側に

完璧少女の秘密

歩side

クラスの雰囲気もだいぶ分かって慣れてきた頃、体育祭が近づいていた。

朝練が始まる中、俺は一つのことに気づいた。

最近、麻生の顔色が悪い。

もともとの白い肌が少し青白く、目も少し充血している。

勉強を頑張っているのは分かっているが、途中で崩れてしまわないか少し心配だ。

他の先生方も言っていた。

頑張りすぎていると。

もう少し息抜きをしてもいいと思う。

声をかけても大丈夫の一点張りだった。

辛そうな顔や素振りなんて一切見せない。

本当に大丈夫なんだろうか？？

そう思いながら、迎えた体育祭。

今年は出られる競技数は少ないけれど、最後だから楽しんで欲しい。

でもみんなが必死にクラスメイトを応援している姿を見て安心していた。

本当は俺もクラスメイトの近くで応援していたかったが、担当のリレーの召集に向かう。

そのときに麻生を見かけたが、やはり顔色が悪かった。

こんなんで走れるのかと思いきや、バトンを受け取ったあいつは軽やかに走り出した。

まるで風のように走り去って行き、2位との差を着々と縮めている。

そして余裕で1位のゴール。

たくさんの先生方が言っていたように本当に何でもできるのだと感心していた。

その時だった。

あいつが誰かとぶつかり倒れたのは。