笑顔の裏側に
そんな日々が続いていたある日のこと。

夏休み後すぐに受けた模試が帰ってきたということで、クラスの全員が面談することとなった。

その時に不安なこととか、相談したいこととかがあれば、時間を取ってくれるらしい。

もちろん何もなければ、遅くても10分ぐらいで終わるとのこと。

それぞれ予定があるから、黒板に掲示してある紙の好きな時間の欄に名前を書いて決める。

私はいつにしようかなと考えながら、帰る準備をし、終わって顔を上げるとみんなが黒板に群がっていた。

明日にしようと鞄を持つと、何やら先生がこちらへ向かってくる。

「麻生、名前書かないのか？」

「混んでるから、明日書きますね。」

すると先生は黒板の方に目を向けた後、私の右耳に顔を近づけて、

「お前は塾とか何もない日の一番最後に入れておけよ。」

そう言ってそのまま何もなかったように私の横を通り過ぎて行った。

いきなり先生の顔が間近に迫り、胸が高鳴って頰が火照る。

思わず右耳を触り、立ち尽くしてしまった。
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