笑顔の裏側に
「じゃあ、面談するよ?まず今回の模試は結構難しかったんだ。塾や予備校もみんなが夏休み勉強した成果を発揮してほしいと、きっといつもより難しめに設定した。」

私はぼんやりと成績表を見ながら、先生の声に一応耳を傾ける。

でも全然入ってこない。

私が受験するレベルはこのレベルより難しい試験だ。

このレベルも満足にできないんじゃどうしようもない。

何も言わない私を見かねて先生がそのまま続けた。

「理科と数学は少しだけど上がってるだろ。国語は少し下がってるけど、国語の川谷先生は難しい記述もよく書けてたって上出来だって褒めてたぞ。」

「ありがとうございます。」

その言葉に気を取り直して採点が入った解答用紙を見た。

数学と理科は途中式や記述で引かれているところはほとんどなく、途中までしかできなかった問題もそこまでの部分点がもらえていた。

国語だって記述もそれなりに点数がもらえている。

「ちゃんと力はついてきているだろ?」

先生の言葉に少しだけ首を縦に振る。

よかった。

ちゃんと結果に表れていたんだ。
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