笑顔の裏側に
そのままペラペラとめくっていくと、英語の解答用紙にたどり着いた。

よく見ると大きく失点しているのはWritingの問題だった。

50点中36点。

ギリギリ7割。

「俺な、英語、みんなならもっと取れると思ってたんだよ。だけどみんなWritingでボロボロ。与えられた論題も難しかったからある程度書けていたのは帰国子女の生徒くらいだよ。だからお前はとれてる方。それに俺が個別で指導してやるから、安心しろ。」

「個別に?」

ここで初めて顔を上げて先生の顔を見ると、意外にも距離が近くて胸が高鳴り頬が熱を持つ。

前までは向かい合わせに座っていたからさほど近くはなかったのだ。

「そう。難関私立大でもWritingを求める大学はほとんどないし、国公立でも英語がないところやWritingが課されない大学もある。だから授業では重点的には取り上げることは少ない。それにWritingは個人のレベルの差もあるから、個別で見た方が伸びる。」

そこまでの話を先生が淡々と話す。

そうして私の方を見据えて続けた。
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